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多文化主義への移行?

フランスで憲法改正が行われた。
昨夜は深夜までこのニュースをずっと生でネット中継を見ていた。
この改憲は、サルコジ大統領の選挙公約だったもので、現地の報道では改憲というより、国家の「制度改革」というずっと大きな意味合いが付与されている。

改正された条項は40にのぼり、方向性としては政府に対して相対的に議会の役割を強化し、より民主的性格を強めようというものだ。

他にも、トルコの加盟を阻止しようというような意味合いのある条項もある。

その一方で、個人的に注目していたのは、「地域言語は共和国の遺産である」という、マイノリティ言語を最高法規できちんと認知する条項を追加する修正だ。

当初の政府案では何と第1条に追加することになっていて、これには上院から「共和国の崩壊を意味する」と国会の審議過程では拒否を突き付けられた案件だが、修正提案では第75-1条の地方自治体について定める箇所に挿入することで妥結を見た。

ちなみに改憲には、ヴェルサイユで開かれる上下両院の合同本会議で、5分の3以上の賛成を必要とする。今回は、ぎりぎり1票差での可決だった。

これまで、国の「不可分性」に疑義をもたらす概念や制度は、大革命時に制定されたジャコバン憲法以来すべて拒否してきたフランスだが、言語・文化面での多様性を認知する今回の修正は、そのフランスをしていよいよ多文化主義に行かしめるのだろうか?

アルザスの有力地域語擁護団体「言語とバイリンガリズム」からは、早速歓迎のコミュニケが出された。
ようやくこの面で、フランスも他の欧州諸国に近づいた、という理由だ。

憲法改正は一部条項を除き即日発効したが、具体的にそれを運用するには様々な法改正や政令・省令等の公布が必要となる。

1999年に政府が一旦署名したが、憲法評議院が違憲判決を出したがために批准できなかった欧州地域少数言語憲章への再署名・批准が果たせるか。いきなりフランスが多文化主義に移行するとは想像できないが、ここが一つの鍵になる気がする。

いずれにしても、フランスの民族政策を考えるときには、これは1951年の地域語法(ディクソンヌ法)以来の大きな政治的転換であると言える。
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テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済

コメント

非公開コメント

いーゆう

自分の卒論とも絡む論点で、伺いたいのですが、

>政府に対して相対的に議会の役割を強化し、より民主的性格を強めようというもの
あるいは、マイノリティ言語の保護というのは、
「マイノリティ保護」のEU規範がフランス政治に影響した・・といえるんでしょうか?
移民政策のイメージが強くてサルコジさんがマイノリティにやさしいイメージはもてないのですが、「多文化主義」要素は今後移民の範囲まで作用してくんでしょうか?(あまりそうは思えないけれど)

なんだか、詳しくない人の質問で申し訳ないですe-263

No title

EU規範は、ゆっくりとだけどフランス政治を拘束してきていると思う。
でもそれはEUだけが作り出しているわけではなく、OSCEと欧州審議会とEUとが相乗効果的に作り上げている規範であり、政治的拘束力であると思う。

でも移民は別問題。領域的マイノリティはもとからそこに住んでいた、れっきとしたヨーロッパ人たち。そういう意識が政治にも当事者にも強い。
でも移民(この場合、多くはイスラム系の)は、基本、ヨーロッパ外から足を踏み入れてきた人たち(という認識)。

サルコジは移民には厳しい。トルコにも厳しい。
でも彼は非常に政治的空気を読むのが上手く、対応が素早い。だからヨーロッパとしての政治的潮流に敏感に反応する。まぁ、フランスの大統領制がそういう対応を可能にしてもいるのだけれど。

No title

ふむふむ。。。
なんか、フランスにおける「ポーランドの配管工」がいるのかが気になってきました(笑)
がっく○の卒論じゃないんだけれど、どこまでが包括すべきヨーロッパ人でどこからが排除すべき移民なのか。(サルコジもハンガリー系移民の子孫なわけやし。)

フランスはEU・ヨーロッパを代表してる国だけれど、それでも「ヨーロッパ性」とは差異と距離があるのかーと考えると何とも不思議な感じですe-267

なんか独り言みたいになったので無視してくださいe-263
合宿楽しんできてくださいねーe-256
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かずなり

Author:かずなり
神戸在住の国際関係研究者。
赤ワインとチェコビールと蕎麦と栗を愛す。
競馬は欠かせない。

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