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ヨーロッパ調査旅行2007秋

「予防外交」を探る共同研究プロジェクトでヨーロッパに出張に行ってきた。
最初はパリ。ここではフランスの国際政治研究者が今回の調査テーマである「予防外交」をどのように見ているのか、フランスが中東をどう見ているのかを探りたく、専門家へヒアリング。クルド問題で揺れるトルコの現状、対中東政策におけるEUやフランスの立ち位置などを考える材料が得られた。

次いでウィーンへ。ここではOSCEの本部で加盟56カ国(+日本を含めオブザーバーの数ヶ国)代表による常設理事会(Permanent Council)の傍聴。国際会議の厳しさやおもしろさを味わい、さらに予防外交の専門家によるブリーフィングをたんまりと受ける。

そして、今回の出張の「メインディッシュ」であるマケドニアのスコピエへ。ユーゴから独立した国で、2001年に紛争調停の合意に漕ぎつけたマケドニア人とアルバニア人の対立を構造的に抱えている国。その対立の再燃予防のためにOSCEのミッションが展開している国。

空港を出て車で市内へ移動の道中、「これが本当にEU加盟候補国か?」という疑問を抱く殺風景さ。クロアチアは遠からず入れるだろうけど、マケドニアはどうなんだろうか・・・。だいたい、失業率が37%とかいうし・・・。

そしてマケドニア人地区から、これと川を隔てて展開されるアルバニア人地区へと歩いて散策。
明らかに空気が変わる、貧度が変わる。ムスリムだからモスクが出てくる。そのモスクを、トルコが財政的に支援しているという。クルド問題で揺れるトルコは、国内では世俗国家を標榜しながら、国外のイスラム勢力への支援には力を入れるという。日常の中に不意にかいま見えてくる国際政治の構図。

極めつけはかつては蔑称でジプシーと呼ばれていたロマ人の集住地区。この国ではアルバニア人よりもさらにマイノリティだけど、首都スコピエのこの地区は、ロマ人がマジョリティで市長もロマ人が選出されている世界でも希有なロマ人自治が実現している地区。

日本人を見ることなど滅多にない彼ら。異様なほどの視線を浴びながら、アルバニア人の通訳に連れられてブラックマーケットの建ち並ぶ通りを歩く。このブラックマーケットがこの地区の生命線。

そのさなか、この日は日曜だったのだけど、オフだったロマ人市長と路上で偶然遭遇。
32歳と若く、そしてエネルギッシュな同地区出身の彼。トルコで高等教育を修めて(歯科医の資格をもってる)、英語に堪能。
そして地区のために一生懸命な政治に取り組み、ロマ人からカリスマ的な人気を博しているようだ。

その市長が街中のカフェに招いてくれて説明してくれたが、人口4万で学校(小中学校)が2つだけしかない。高校もない。小学校も、建物が足りず、かつて荷物を運んでいた古いコンテナを利用した教室で学ぶ子どもたち・・・。
しかも3000人もの児童は、一日に3回転で1000人ずつ交代で学んでいる。

中央政府からの財政支援は明らかに全く不足している。でもこの国の経済状況を思うと、難しいだろうことは容易に想像が可能。EUに入ればEUからの補助金が頼りになることは必定だけど、EUに入るためには今以上に経済その他の基準をクリアしないといけない。鶏が先か、卵が先かのようなジレンマだ。

ロマ人の小学校で、突然訪問した僕ら一行が教室にお邪魔すると、声を合わせて「ドバル・デーン(こんにちは)」と挨拶してくれた屈託のない笑顔の君たち。この地区の宝だ!!

なお、バルカンの白ワインはいまいちだと思う。ビールは結構良いし、マケドニアの地元の赤ワインは結構美味しかったけど。

ところでロマの旗というを知った。

ロマの旗

一番右のがそうだけど、青は空、緑は大地、そして赤い車輪は世界を旅し続けるロマの生き様を示しているそうな。

テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済

コメント

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すごく興味深いです。ロマ人自治区の存在を初めて知りました。
紛争予防のためにOSCEはどのようにミッションを展開しているのでしょう?また帰国してからでも教えていただきたいです。
次回の出張には是非同行させてください!!

ロマ人自治区のことは僕も聞いてびっくり、見てびっくり。
OSCEのミッションはいろいろだよ。講義をしようと思って整理中です。
今度は銀河くんも同行したいみたいだよ(笑)
プロフィール

Author:かずなり
神戸在住の国際関係研究者。
赤ワインとチェコビールと蕎麦と栗を愛す。
競馬は欠かせない。

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